医療費控除で税金が戻る!初心者でも迷わないスマホ・PC対応の確定申告完全ガイド

「こんなに医療費を払ったのに、何も戻ってこないの?」
──そう感じたことがある方は、医療費控除の申告をしていない可能性があります。

医療費控除とは、一定額以上の医療費を支払った場合に、所得税や住民税の負担を軽くできる制度です。
病院の診療費だけでなく、薬代や通院の電車代、家族の分まで対象になることも。

しかも最近では、スマホやパソコンから手軽に申告が可能になっており、e-Taxを活用すれば紙の提出も不要。
この記事では、医療費控除の基礎知識から、申告の手順、注意点まで、初心者でも迷わずできるようにわかりやすく解説していきます。


  1. 医療費控除とは?メリットと確定申告が必要な理由
  2. 医療費控除の対象と適用条件を確認しよう
    1. 医療費控除の対象となる人と期間
    2. 医療費控除の対象となる医療費(具体例)
    3. 医療費控除の対象外となる費用(具体例)
    4. セルフメディケーション税制との選択に注意
  3. 医療費控除でいくら戻る?控除額・還付額の計算方法
    1. 医療費控除額の計算方法
    2. 還付される所得税額の目安(税率による違い)
  4. 医療費控除の申告前チェックリスト(必要書類と事前準備)
    1. 医療費控除の明細書・確定申告書を用意する
    2. 医療費通知・領収書を整理して金額を確認する
    3. マイナンバーカードの取得・電子申告の準備をする
    4. チェックリストまとめ
  5. スマホで医療費控除を申告する方法(e-Tax)
    1. スマホ申告の事前準備(対応スマホ・アプリの設定)
    2. スマホを使った医療費控除申告の手順
  6. パソコンで医療費控除を申告する方法(e-Tax)
    1. パソコン申告の事前準備(ICカードリーダー等の用意)
    2. パソコンを使った医療費控除申告の手順
  7. 医療費控除申告で押さえておきたいポイント(注意点)
    1. セルフメディケーション税制は医療費控除と併用できない
    2. 保険金や高額療養費で補填された分は差し引いて計算する
    3. 医療費控除の領収書は提出不要(5年間の保管が必要)
    4. 確定申告の申告期間・還付申告の期限に注意
  8. まとめ:医療費控除を活用して正しく手軽に申告しよう

医療費控除とは?メリットと確定申告が必要な理由

「医療費控除」とは、1年間に支払った医療費が一定額を超えた場合に、所得から差し引いてもらえる仕組みです。
所得が少なく計算されることで、支払うべき税金が軽くなり、すでに払った分が戻ってくる(還付される)可能性があります。

医療費控除の対象になるのは、納税者本人だけではありません。生計を一にする家族の分もまとめて申告できます。
たとえば、お子さんの通院費や、遠方に暮らす親の医療費を仕送りで支払っている場合なども含まれる可能性があります。

ただし、医療費控除は年末調整では対応してもらえません。
会社員の方でも、自分で確定申告をしないと控除が受けられない点に注意が必要です。

では実際に、どんな費用が対象になるのでしょうか?
次の章では、医療費控除の対象となる「人」「期間」「費用」について詳しく解説します。

医療費控除の対象と適用条件を確認しよう

医療費控除を受けられるのは、「1年間で医療費がたくさんかかった人」だけではありません。実は、家族の医療費を支払った場合でも対象になるなど、意外と知られていないポイントもあります。

ここでは、誰の医療費が対象になるのか、どんな費用が該当するのか、さらに適用できる期間や注意点について、順を追って解説していきます。


医療費控除の対象となる人と期間

  • 医療費控除の対象となるのは、納税者本人と「生計を一にする家族」の医療費です。たとえば、同居していない大学生の子どもや遠方に住む親でも、生活費を仕送りしている場合は対象になります。
  • 医療費控除の対象となる期間は、その年の1月1日から12月31日までに支払った医療費です。支払日ベースなので、診療を受けた日ではなく、実際にお金を払った日がいつかがポイントです。

医療費控除の対象となる医療費(具体例)

  • 医療費控除の対象になるのは、「治療や療養のために必要だった費用」に限られます。
  • 例としては、病院での診察費・入院費・手術費・処方薬代・通院の電車代・出産費用などがあります。
  • 通院にかかった交通費も認められますが、タクシーは原則対象外で、バスや電車など公共交通機関の利用が原則です
  • 歯の治療でも、保険適用外の治療(インプラントなど)も対象になる場合があるため、費用の性質によって判断が必要です。

医療費控除の対象外となる費用(具体例)

  • 美容や予防を目的とした費用は、たとえ病院で受けたものであっても対象外です。
  • 例としては、美容整形・人間ドック・健康診断・ビタミン剤やサプリメント・マッサージ・整体などが挙げられます。
  • ただし、人間ドックや健康診断の結果、治療が必要と診断されて実際に治療した場合の費用は、対象となる場合があります

セルフメディケーション税制との選択に注意

  • 医療費控除と似た制度に「セルフメディケーション税制」があります。
  • これは、ドラッグストアで対象の市販薬(スイッチOTC医薬品)を一定額以上購入した場合に受けられる控除です。
  • 医療費控除と同じ年に併用はできず、どちらか一方の選択が必要です。支出額や状況に応じて、有利な方を選ぶのが基本です。

医療費控除でいくら戻る?控除額・還付額の計算方法

医療費控除を受けると、どれくらい税金が戻ってくるのか気になる方も多いのではないでしょうか。
控除額の仕組みを知っておくと、「これだけ戻ってくるなら申告しよう」と判断しやすくなります。

この章では、医療費控除の計算方法と、実際にどのくらいの税金が還付されるのかを、わかりやすくご紹介します。


医療費控除額の計算方法

  • 医療費控除の対象額は、次の計算式で求めます:

 (1年間に支払った医療費 − 保険金などで補填された金額 − 10万円)
 ※所得が200万円未満の人は「所得の5%」を引く

  • たとえば、年間の医療費が35万円で、保険金などで5万円補填された場合:

 35万円 − 5万円 − 10万円 = 20万円が医療費控除の対象額になります。

  • 控除されるのは「税額」ではなく「所得額」なので、還付される金額は所得税率によって変わります

還付される所得税額の目安(税率による違い)

  • 医療費控除で還付される金額は、上記で求めた控除額にその人の所得税率を掛けた金額です。
  • 所得税率は、年収や扶養家族の有無などによって異なりますが、ざっくりとした目安は以下の通りです。
所得税率控除額20万円の場合の還付額(目安)
5%1万円
10%2万円
20%4万円
  • 住民税の軽減にもつながる可能性がありますが、こちらは一律10%の計算になることが多いため、あわせて考えるとさらに効果が大きくなります

医療費控除の申告前チェックリスト(必要書類と事前準備)

医療費控除の申請をスムーズに進めるためには、事前準備がとても重要です。
「あとから書類が足りない…」とならないように、ここで紹介するチェックリストを使って、必要なものを確認しておきましょう。


医療費控除の明細書・確定申告書を用意する

  • 医療費控除を申請するには、「医療費控除の明細書」が必要です。以前は領収書の提出が必要でしたが、今は明細書の作成が必須となっています。
  • 明細書は、領収書をもとに「どの病院で」「誰に」「いくら支払ったか」をまとめるシンプルな表形式です。
  • 書き方が不安な場合は、国税庁の確定申告書作成コーナーを使えば、入力するだけで自動作成してくれるので安心です。
  • また、確定申告全体の書類(確定申告書AまたはB)も忘れずに準備しましょう。e-Taxを利用する場合は、画面に沿って入力するだけでこれも作成されます。

医療費通知・領収書を整理して金額を確認する

  • 健康保険組合から毎年届く「医療費のお知らせ(医療費通知)」は、明細書作成時の参考になります。一部の内容をそのまま転記できるため、保管しておきましょう。
  • それ以外の医療費(ドラッグストアで購入した薬や通院時の交通費など)は、手元の領収書を整理して、別途集計する必要があります。
  • 領収書は提出しなくてもOKですが、5年間の保管義務があります。ファイルなどにまとめておくと、税務署から問い合わせが来たときにも安心です。

マイナンバーカードの取得・電子申告の準備をする

  • スマホやPCでe-Tax申告をするには、マイナンバーカードが必要です。
  • まだ持っていない方は、取得に2〜3週間かかることもあるため、早めに申請しましょう。
  • また、マイナポータル連携の設定や、暗証番号(利用者証明用・署名用)の確認も事前に済ませておくとスムーズです。
  • スマホで申告する場合は、マイナポータルアプリやe-Taxアプリをインストールし、マイナンバーカードを読み取れる機種か確認しておくと安心です。

チェックリストまとめ

項目内容確認
✅ 医療費控除の明細書手書き or 自動作成(e-Tax)□ 済
✅ 確定申告書AまたはB、e-Taxで自動作成も可□ 済
✅ 医療費通知健康保険組合から届いたもの□ 済
✅ 医療費の領収書通院・薬代・交通費などを整理□ 済
✅ マイナンバーカード取得済み・暗証番号確認済み□ 済
✅ 申告用アプリマイナポータル/e-Taxアプリ□ 済

スマホで医療費控除を申告する方法(e-Tax)

近年、確定申告はスマートフォンからも簡単にできるようになりました
特に医療費控除は、スマホで手早く済ませたい方にとって便利な仕組みです。
マイナンバーカードや専用アプリを使えば、パソコンなしでも確定申告が完結します。

この章では、スマホ申告に必要な準備と、申告の具体的な手順を順を追って解説します。


スマホ申告の事前準備(対応スマホ・アプリの設定)

  • **NFC対応スマートフォン(iPhone・Android)**が必要です。マイナンバーカードの読み取りに対応しているか確認しましょう。
  • 利用前に、以下のアプリをインストールしておきます。
アプリ名目的
マイナポータルアプリマイナンバーカード連携
e-Taxアプリ電子申告の送信操作
確定申告書等作成コーナー(Webブラウザ)実際の入力と作成を行うページ
  • **マイナンバーカードの暗証番号(署名用・利用者証明用)**も必要です。事前に控えておきましょう。
  • 通信環境が安定した場所で操作を行うと安心です。

スマホを使った医療費控除申告の手順

スマホで医療費控除を申告する流れは、以下の5ステップです。

ステップ1|作成コーナーにアクセス
国税庁の「確定申告書等作成コーナー(スマホ版)」にアクセスします。
画面の案内に従って「作成開始」をタップします。

ステップ2|マイナンバーカードで本人確認
「マイナンバーカード方式」を選択し、スマホでマイナンバーカードを読み取ります。
※暗証番号の入力もこの段階で行います。

ステップ3|収入や所得控除の情報を入力
源泉徴収票の内容を入力し、「医療費控除」の欄に進みます。
「医療費控除の明細書」を作成する画面で、医療費の合計額などを入力します。

ステップ4|計算結果を確認
還付される金額(所得税の還付額)が自動計算されます。
間違いがないか確認し、修正があれば戻って編集します。

ステップ5|振込先口座の登録と送信
還付金を受け取る銀行口座情報を入力します。
最後に「e-Taxで送信」ボタンをタップし、マイナンバーカードを再読み取りして申告完了です。

パソコンで医療費控除を申告する方法(e-Tax)

スマートフォンに不慣れな方や、画面が大きい方が入力しやすいと感じる方には、パソコンでのe-Tax申告がおすすめです。
特別なソフトを使わなくても、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」からブラウザで申告できます

この章では、パソコンで医療費控除を申請するための準備と手順を、わかりやすくご紹介します。


パソコン申告の事前準備(ICカードリーダー等の用意)

  • パソコンからマイナンバーカードを読み取るには、以下いずれかの準備が必要です。
方法必要なもの
A. ICカードリーダー方式ICカードリーダライタ(マイナンバー対応)
B. スマホ読取方式NFC対応スマホ+マイナポータルアプリ
  • 「A. ICカードリーダー方式」は、マイナンバーカードを差し込んで読み取る専用機器をパソコンに接続します。1台2,000〜5,000円程度で購入可能です。
  • 「B. スマホ読取方式」は、マイナポータル連携でスマホをカードリーダー代わりにする方法です。最近はこの方式を採用する方も増えています。
  • いずれの場合も、**マイナンバーカードの署名用暗証番号(6〜16桁)**が必要ですので、事前に確認しておきましょう。
  • さらに、e-Taxを利用するには対応ブラウザ(Chrome推奨)とJavaScriptの有効化が必要です。

パソコンを使った医療費控除申告の手順

パソコンから申告する流れは、以下のように進みます。

ステップ1|確定申告書作成コーナーにアクセス
国税庁の公式サイト「確定申告書等作成コーナー」にアクセスします。
トップページの「作成開始」ボタンをクリックします。

ステップ2|マイナンバーカード認証を行う
「マイナンバーカード方式」を選び、
ICカードリーダーまたはスマホでマイナンバーカードを読み取ります。
署名用暗証番号の入力が必要です。

ステップ3|所得・控除情報を入力
源泉徴収票の内容をもとに、収入や控除項目を入力していきます。
「医療費控除」の欄では、医療費の合計額を入力するか、
「医療費通知(お知らせ)」を利用するかを選べます。

ステップ4|還付金の確認と口座登録
自動で計算された還付額を確認し、誤りがなければ進みます。
還付金を受け取る口座情報を入力します。

ステップ5|e-Taxで送信して申告完了
内容をすべて確認したら、e-Taxで申告書を送信します。
送信が完了すると、「受付番号」が表示され、控えの印刷や保存も可能です。

医療費控除申告で押さえておきたいポイント(注意点)

医療費控除は、正しく申告すれば税金が戻ってくる便利な制度ですが、思わぬ落とし穴や注意点もいくつかあります
申告後に「間違ってた」「損していた」とならないよう、事前に確認しておきたいポイントを4つに分けて解説します。


セルフメディケーション税制は医療費控除と併用できない

  • 医療費控除には、もうひとつの選択肢として「セルフメディケーション税制」があります。
  • これは、対象の市販薬(スイッチOTC医薬品)を一定額以上購入した場合に使える制度です。
  • ただし、通常の医療費控除と同じ年に両方は使えません。どちらか一方を選ぶ必要があります。
  • 医療費全体が少なくても、市販薬の支出が多い年はセルフメディケーションの方が有利な場合もあります。
  • 年間の支出や控除額の試算をしてから、自分にとって有利な方を選びましょう。

保険金や高額療養費で補填された分は差し引いて計算する

  • 医療費控除は、「自分で実際に負担した医療費」が対象です。
  • たとえば以下のような補填された金額は、医療費から差し引く必要があります。
補填の例扱い
健康保険からの療養費・高額療養費控除対象外(差し引く)
入院給付金・手術給付金(民間保険)控除対象外(差し引く)
出産育児一時金控除対象外(差し引く)
  • 誤って補填された分まで含めてしまうと、過大申告になってしまうため注意しましょう。

医療費控除の領収書は提出不要(5年間の保管が必要)

  • 以前は申告時に医療費の領収書を提出する必要がありましたが、現在は提出不要です。
  • ただし、税務署から問い合わせがある可能性もあるため、5年間の保管義務があります。
  • 領収書は日付順に整理して、ファイルや封筒にまとめて保管しておくと安心です。
  • また、**医療費通知だけでは補えない支出(交通費や市販薬など)**は、自分で記録しておくことも大切です。

確定申告の申告期間・還付申告の期限に注意

  • 確定申告の提出期間は、通常 毎年2月16日〜3月15日までです(土日祝の関係で前後する年もあります)。
  • ただし、医療費控除など還付申告は、翌年の1月1日から5年間提出可能です。
  • たとえば、2024年分の医療費であれば、2025年1月1日〜2029年12月31日まで申告可能ということになります。
  • とはいえ、還付が早く欲しい場合は、2月中に提出しておくのがおすすめです。3月以降は混雑しやすく、還付時期が遅れる可能性があります。

まとめ:医療費控除を活用して正しく手軽に申告しよう

医療費控除は、知らないと損をする制度のひとつです。
1年間で支払った医療費が一定額を超えていれば、確定申告によって所得税の一部が戻ってくる可能性があります。

最近では、スマホやパソコンを使えば、自宅にいながらでも手軽に申告が完了します。
難しそうに感じるかもしれませんが、事前に必要書類をそろえておけば、画面の案内に従って進めるだけでOKです。

「病院によく行った年だった」「家族の医療費もあった」「薬代がけっこうかさんだ」――そんな方は、まずは医療費の合計を確認してみましょう。

そして、税金を正しく申告し、必要な還付をきちんと受け取ることは、自分と家族の生活を守る第一歩です。

今年こそ、医療費控除をうまく活用して、無理なく、賢く、確定申告を済ませましょう。
あなたの行動が、大切なお金を守る力になります。

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